第9回 わだつみフォーラム 大学における戦没者追悼を考える

2013/03/21 10:21 に 徳久杉本 が投稿
大学における戦没者追悼を考える

(慶應義塾大学名誉教授)白井 厚 氏 

講師  2013年 3 月23日(土) 14 : 00ー16 : 30

当日は特別に12時から開館しますので、見学も兼ねてぜひご出席ください(入館 無料)


【講師のことば】


「学徒出陣」とは何か。学徒とは何か。出陣とは?

 欧米の大学を訪れると、目立つところに戦没した卒業生や学生の名が刻まれていることが多いが、日本の大学にはこうしたものはほとんどない。なぜだろうか。当時の学生はあの戦争に疑問を持っても、教師に励まされ歓呼の声に送られて入隊し、不幸にも戦没、戦後は侵略戦争の一員と見られ、母校からは忘れられた。あれから70 年、もう戦争のことは、学校では誰も知らない。



戦時中の高等教育機関は、

帝国大学 9 校、
官立大学 12 校、
公立大学 2 校、
私立大学 28 校、 48 校位。



に旧制専門学校が 200校以上、旧制高等学校、師範学校若干があった。大学に進むのは 2 %位だから、50%を収容する今の大学と比べれば大学生はエリートである。大学はほとんどが戦争に協力した。

この大学の中で、戦没者に対して戦後すぐ追悼行事を行なったのは東大、中大など。卒業生が慰霊の像を建立したのは慶大、戦没者名簿を作ったのは中大、小樽商大、早大、一橋大など。戦時中の自校の調査・研究をしたのは東大、立大、京大など。欧米並みに記名碑を持つのは小樽商大、福島大、一橋大などで、これらを除く9 割近くの大学は、追悼や調査をやっていないようだ。


2年後には、敗戦 70 年になる。戦争体験、軍隊体験、戦闘体験を持つ人は僅少となり、体験の直接継承の糸はこのころ切れるであろう。今やるべきことは、各大学において戦没者追悼の行事を盛んに行う事。行なえこないよ な場合でも、できうるだけ調査・研究を行なって史実を確認し、それを若い学生などに伝える事だ。なぜ戦争を防げなかったのか、今後防ぐためにはどうすればよいかを徹底的に考える と。過去の戦争を総括し、そこから学ぶこ である。

残念ながら今も世界で戦争の危機が深まり未来は暗い。

戦没者の無念の思いを繰り返すことのないように、彼らの体験について若者と共に考えよう。


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赤門アビタシオン1階

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